2001年3月25日、まだ私が大分大学教育福祉科学部講師であった時に、当時のホームページにおいて行政法の講義ノートを開始しました。それから24年間、多くの方々に利用していただきました。直接、公務員の方、税理士の方などから「わかりやすい」というありがたい評価をいただきましたし、行政書士試験受験者向けのブログなどで、行政法の真髄でもある行政裁量論を扱った箇所に関して非常に好意的な評価をいただくこともできました。
当初から「法学部に所属していない学生でも、ウェブで手軽に行政法の勉学を進めることができる」ことを目指していました。多少とも実現できたことをうれしく思うとともに、今後も発展し続けなければ、と考えております。
第6版までは、私が運営していたホームページ(「川崎高津公法研究室」、2024年12月上旬に閉鎖)にアップしていましたが、マイクロソフト社による簡易なホームページ作成用ソフトであるFrontpageおよびExpression Web 4の開発が終了していることから、2019年3月25日より、第7版の掲載はとりあえずブログで行うこととしました。そして、2025年11月に、それまで利用してきたgoo blogが閉鎖することになったため、移転して第8版に改めることとしました。第8版とは銘打っていますが、開始から二度の名称変更を経ていますので、実質的には第10版となります。
私が大東文化大学において担当してきた講義の範囲は行政作用法総論ですが、ホームページでは当初から、行政作用法総論、行政救済法および行政組織法の基本的な部分を対象としております。これは、行政作用法総論の講義であっても、常に行政救済法や行政組織法の内容を意識しなければならないためです。この点は、実際に行政法学の教科書をお読みになればおわかりでしょう。
日本に存在する法律の大部分は行政法に属する、と言われます。それだけに、範囲も膨大なものとなりますが、ここでは、初学者の皆様にも取り掛かりやすいように、ごく基本的な部分を扱います。但し、少々突っ込んだ内容となっている部分もあります。これは、公務員試験、行政書士試験などの受験を検討されている方々などのお役に立てば、という思いもあるからです。
ここで、注意事項を記しておきます。
1.必ず、六法を手元に置いて読んで下さい。小型の六法で十分ですが、有斐閣の判例六法Professional、三省堂の模範六法などの中型またはそれより収録法令数の多いもの、また、学陽書房の地方自治小六法、ぎょうせいの自治六法などであれば、さらに良いでしょう。なお、六法に収録されていない法令が登場することもありますが、現行法であれば「e-Gov 電子政府の総合窓口」の「法令索引検索」を参照するとよいでしょう。
2.行政法学に限らず、法律を勉強する際には、判例、実例などの検討を欠くことはできません。そこで、まず、判例解説書の併読をおすすめします。とくに、公務員試験受験を考えられている方は、判例解説書を備えるようにして下さい。そして、実際に、公式判例集などを参照するように努めて下さい。
この講義においては、斎藤誠・山本隆司編『行政判例百選Ⅰ』〔第8版〕および同編『行政判例百選Ⅱ』〔第8版〕(いずれも有斐閣、2022年)を参考書の一つとします(2分冊になっていますが、1セットと考えてください)。同書にて解説がなされている判例については、ⅠまたはⅡの○○番と記します。 但し、同書(Ⅰ、Ⅱのいずれも)には最高裁判所の判決しか取り上げられていませんので、野呂充・下井康史・中原茂樹・磯部哲・湊二郎編『ケースブック行政法』〔第7版〕(弘文堂、2022年)、下山憲治・田村達久編『判例ライン行政法』(2012年、成文堂)などもおすすめします。
3.定評のある教科書を併読することをおすすめします。
4.また、行政法学の基本用語については、このページでも説明を行っておりますが、黒川哲志・下山憲治・日野辰哉編著『確認行政法用語230』〔第2版〕(成文堂、2016年)の併読もおすすめします。
5.行政法学は、応用的法学の一つとして考えられています。そこで、基礎的な六法(憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法)の学習を済ませておくのが望ましいのです。最低限、憲法、民法および刑法の学習を十分に行って下さい。
もっとも、法学部以外の学部の学生、さらには法律学に全く触れてこなかったという方もおられるでしょう。そこで、憲法、民法、刑法などの基本的な部分にも触れておきたいと考えています。
〔これまでの経過〕
2001年3月25日、「行政法への前奏曲集」として開始する。
2003年4月1日、「行政法への入口(前奏曲)」と改称。順次、修正・補充などを行う。
2004年4月16日、「行政法講義ノート」と改称。
2005年6月28日、第2版として順次改訂。
2008年5月16日、第3版として順次改訂。
2011年3月15日、第4版として順次改訂。
2013年2月20日、第5版として順次改訂。
2015年9月22日、第6版として順次改訂。
2019年3月25日、ブログ「ひろば 川崎高津公法研究室別室」において第7版として順次改訂。
2025年4月21日、ブログ「川崎高津公法研究室」開設(実質的には移転の上で改称)に伴って第8版を開始し、順次改訂。
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